ドネキフ塾
中級者向け概念・戦術解説 ・ パッチ26.20対応

ワールズ2026 LOS対T1をプロのコーチと見る

読了目安 約67分 ・ 最終更新 2026年10月26日

この記事で学べること

元プロチームのコーチ invals さんと、ワールズ2026 スイスステージの LOS 対 T1 を見た特番の記録。バンピックの考え方から、どこで有利を作り、どこでリスクを取るかまで。

監修: invals元プロチームコーチ

コーチング歴9年以上 プロチーム所属経験あり   ・ ドネキフ塾 コーチ

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📖 目次
  1. この記事で分かること
  2. 試合の基本情報
  3. プロのバンピックで考えていること
  4. メタより先に考えること
  5. どこに有利を作り、どこが耐えるか
  6. 不利を誰に渡すかは、選手で決める
  7. 最初の3体で狙いが分かる
  8. リー・シンに LOS がどう返したか
  9. ジェイスが厄介で、カ・サンテは序盤が苦しい
  10. ADC の選択とアリスター
  11. 両チームの構成の狙い
  12. ジャングルはどこから始める?
  13. 試合の流れと、見るべき場面
  14. 試合開始:お互いにジャングラーの位置を探る
  15. 1分ごろ:レベル1では押し合わない
  16. 2分ごろ:この場面では、先にリコールした方が得
  17. 3分ごろ:ジンのリコールと、リー・シンのカバー
  18. 4分ごろ:ワードは、やりたいことに合わせて置く
  19. 5分ごろ:押し込んでから先にリコールする
  20. 5分すぎ:せっかく作った陣地を生かせない
  21. 6分ごろ:トップの殴り合いと、ファーストブラッド
  22. 8分ごろ:強引にボットダイブというリスクを取る
  23. 9〜10分:トップに行くか、ボットを続けるか
  24. 10分ごろ:リコールのふりをした T1 の罠
  25. 11分ごろ:トップでのアクションと、それを読んでいた T1
  26. 12分ごろ:自分たちの陣地で戦う T1
  27. 14分ごろ:視界を固める基本
  28. オブジェクトの交換
  29. 16〜18分:強引に取ったヘラルドと、ルートを切るワード
  30. 18分ごろ:負けている側のワンキャッチは、ワンキャッチで終わり
  31. 21分ごろ:ルブランは遠くから削るチャンピオン
  32. 24分:T1 の勝ち
  33. invals さんのまとめ
  34. ランクで真似できること
  35. 質問コーナーの要点
  36. おわりに
  37. グループ講座について
  38. 次の特番は、月額会員の人数で決まります
  39. invals さんのコーチングも受けられます

この記事で分かること

2026年10月24日の夜、塾の月額会員向けのグループ講座として「ワールズ特番」を開きました。解説は元プロチームのコーチの invals さん、進行は私(ドネキフ)です。

題材は、その日の朝(日本時間)に行われたワールズ2026 スイスステージ1回戦の LOS 対 T1です。1本勝負で、T1 が24分26秒で勝ちました。キルは3対19、タワーは0対10でした(どちらも LOS 対 T1 の順)。

点差だけ見ると一方的な試合です。でも invals さんの解説を聞くと、LOS にもはっきりした狙いがあって、T1 がそれを一つずつ消していった試合だと分かります。

この記事の解説は、すべて invals さんの話をもとにしています(監修:invals さん)。試合の流れに沿って、場面ごとに見ていきます。要点は次の4つです。

  1. 全部のレーンで有利を取れるとは限らない。バンピックの時点で「どこに有利を作り、どこに負担を引き受けてもらうか」、リソースの配分を考えている
  2. 不利な側は、どこかでリスクを取る判断が要る。待てば良くなる時と、待つほど差が広がる時がある。仕掛けるなら、分かっていた情報と、成功した時のリターン、失敗した時の損失で考える
  3. ワードは、その場面でやりたいことに合わせて置く。そして、自分たちの視界がある所で戦う
  4. 負けている側のワンキャッチは、ワンキャッチで終わり。1人倒せたからと追いかけると、被害が広がる

来られなかった人のための記事です。特番の録画や音声は公開しません。画像と動画は、公式の日本語配信の試合画面から切り抜いたものです。画像には、解説で話に出た場所の印を書き足しています。

記事に書けるのは要点だけです。 当日は、試合を見ながら「今のはなぜ?」をその場で invals さんに聞けました。記事の最後の質問コーナーも、参加した人が聞いた質問です。次の特番に参加すれば、自分が気になった場面をプロのコーチに直接聞けます。

この特番は、もっと増やせます。 記事の公開からワールズ決勝の日(11月15日)までに、月額会員が5人増えるごとに、T1 の試合や面白かった試合の特番を1回増やします。20人増えたら、ワールズ決勝の特番も開きます。詳しくは記事の最後に書いています。

ワールズ特番の追加11月15日(決勝の日)まで

記事の公開から増えた月額会員 … / 20人

  1. +5人 特番をもう1回
  2. +10人 特番をもう1回
  3. +15人 特番をもう1回
  4. +20人 ワールズ決勝の特番

あと5人で「特番をもう1回」。月額会員について

試合の基本情報

項目内容
大会ワールズ2026(世界大会) スイスステージ 1回戦
日時日本時間 10月24日(土)
形式1本勝負
パッチ26.20
サイドLOS がブルーサイド、T1 がレッドサイド(ピックは T1 が先)
結果T1 の勝ち(24分26秒)
数字キル 3対19、タワー 0対10、ドラゴン 0対3、バロン T1 が1体

LOS はブラジルのリーグ(CBLOL)の1位、T1 は韓国のリーグ(LCK)の3位として出場しています。

ピックの完成形。ブルーサイドは LOS、先に選ぶのは T1

ロールLOST1
トップZest:カ・サンテDoran:ジェイス
ジャングルCurse:パンテオンOner:リー・シン
ミッドFeisty:シンドラFaker:ルブラン
ADCDuduhh:トリスターナPeyz:ジン
サポートAckerman:ラカンKeria:アリスター

プロのバンピックで考えていること

特番の前半は、ほとんどがバンピックの話でした。それくらい、プロの試合はバンピックで決まる部分が大きいからです。

メタより先に考えること

バンピックを見るとき、多くの人は「今のメタで強いチャンピオンは何か」を考えがちです。もちろんメタも大事です。でもプロがその前に考えているのは、もっと大きな枠組みの話です。

どこに有利を作り、どこが耐えるか

プロのバンピックでよく使う目安が、「1つのレーンで勝って、1つのレーンで負けて、1つはどちらでもない」(1勝1敗1分け)という考え方です。必ずこの形になるわけではありません。どのレーンを勝たせて、どこに負担を引き受けてもらうか、リソース(ジャングラーの助けやゴールド)の配分を考えるための目安です。

だから考えるのは「どこに有利を作り、どこに負担を引き受けてもらうか」です。あわせて、次の2つも見ます。

  • 序盤を支える人、中盤を支える人、後半を支える人をそれぞれ置く
  • エンゲージ(集団戦を始める役)ができる人を最低1人入れる

ただ、今の環境はキャッチ(1人を捕まえて倒すこと)が強いので、後半に強いチャンピオンを必ず置かなければならない、というほどではありません。

不利を誰に渡すかは、選手で決める

「どこに負担を引き受けてもらうか」は、チャンピオンだけで決めるものではありません。選手にもタイプがあります。

  • 有利をもらって試合を動かすのが得意な、キャリータイプの選手
  • 不利な状況でも崩れずに耐えるのが得意な選手

不利なレーンは、耐えるのが得意な選手に任せます。プロのチームは相手の選手のタイプまで研究しているので、「この選手には耐えさせよう」という狙いでピックを組んできます。

今回のワールズでは「フィアレスドラフト」(同じシリーズの中で一度使ったチャンピオンを、次の試合で使えなくするルール)も話題です。ただ、この日に取り上げたのは1本勝負の試合なので、話の中心はふつうのバンピックの考え方でした。

最初の3体で狙いが分かる

最初に選ぶ側(ファーストピック)は、1体しか選べません。だから一番強いチャンピオンを1体取ります。後から選ぶ側(セカンドピック)は2体続けて選べるので、組み合わせて強い2体を取ることが多いです。だいたい最初の3体が出た時点で、両チームの狙いが分かります。

この試合では、「先にピックする権利」と「サイドを選ぶ権利」が分かれていました。T1 がピックの権利を取って先に選び、LOS はサイドの権利を取ってブルーサイドを選んでいます。だから、レッドサイドの T1 が先にピックしています。

この試合で T1 が最初に取ったのはリー・シンでした。リー・シンは、とても万能なチャンピオンです。

T1 の最初のピックはリー・シン

  • 攻めにも守りにも使える
  • R で相手を蹴り返して、入ってきた相手を追い返せる
  • 自分からキャッチを始めることもできる

プロの試合で勝率が低い時期でも使われ続けるのは、この万能さがあるからです。

最初のピックの段階では、T1 の狙いにはまだ色がついていません。リー・シンは何にでも使えるからです。ただ、T1 は最初のバンでポッピーを消していました。このバンを見ると、T1 は最初からリー・シンを狙っていた感じがします。最初のバンでは、今強いノクターン(T1 のバン)とヴァイ(LOS のバン)も消えていました。

リー・シンに LOS がどう返したか

後から選ぶ LOS は、ここで組み合わせて強い2体を取らなければいけません。invals さんは参加者に「リー・シンに対して、皆さんならジャングルに何を出しますか」と問いかけました。

  • 一番欲しかったのはヴァイ。リー・シンのカウンターにもなる。でも最初のバンで消えていた
  • 次に考えるのは、1人を確実に止める CC(行動を止める効果)を取るか、入ってきた相手を追い返す力(ディスエンゲージ)を取るか
  • ジャーヴァンIVという選択肢もあるが、あまり良くない。旗に飛ぶ動きを使っても結局逃げられやすく、リー・シンに蹴り返されたり、守りの強いチャンピオンを置かれたりすると刺さりにくい
  • ほかには、パンテオン、強気に行くならグレイブス、ゲームを遅らせたいならスカーナーという手もある

LOS が取ったのはシンドラとパンテオンでした。シンドラはもともと相手を追い返す力が高いチャンピオンですが、パンテオンと組み合わせることで、キャッチの力が高い組み合わせになっています。パンテオンが出た時点で、この後の展開はもう色々決まります。「ここが T1 の上手いところ」です。

後から選ぶ LOS は、シンドラとパンテオンを2体続けて取った

ジェイスが厄介で、カ・サンテは序盤が苦しい

T1 のジェイスは、おそらくトップで使われるチャンピオンです。ただ、最悪ミッドでも使えます(こういうピックをフレックスピックと呼びます)。どちらに行くか決めつけられないので、LOS は後のピックで対応しにくくなります。これが LOS にとって厄介でした。

トップでもミッドでも使えるジェイス

やや苦しい形になったのが、LOS の3番目のピックのカ・サンテです。

LOS の3番目のピックはカ・サンテ

  • ジェイスにトップで主導権を取られ、リー・シンにトップへダイブ(タワー下に飛び込んで倒しに行くこと)されるのを避けたかった。カ・サンテは W などで耐える力が高いので、ダイブされても耐えやすい。その意味では理にかなっている
  • ただ、レーン序盤はジェイスがやや有利。カ・サンテで、序盤から主導権を取るのは難しい
  • その代わり、トントンに近い育ち方で進めば、防具や1コアがそろうにつれて、カ・サンテも持ち直しやすくなる。どちらが有利かは、時間帯と育ち方で変わる
  • カ・サンテでダイブを仕掛ける構成もあるが、そのためにはシンドラを動かす必要がある。そうなると、シンドラを守るためにバンを使わなければいけなくなる
  • 耐える役なら、シェン、マルファイト、サイオンも候補だった。アンベッサは耐えるには厳しい
  • トップで勝ちに行くなら、カミールとパンテオンで倒しに行く形もあった

マルファイトを選んだ場合は、構成全体の組み方も変わります。

  • 対面で耐えるだけでなく、R でトップから戦いを始める手段が増える。相手に削られる前に仕掛けて、味方が追撃する戦い方を作りやすくなる
  • サポートは、ラカンを追撃役として残す形もあるし、レルなどで前衛や範囲の拘束を厚くする形もある。レルが必須という意味ではなく、どんな戦い方を目指すかで組み方が変わる
  • この時点では相手のミッドがまだ決まっていないので、サイラス(相手の R を奪って使える)を返される可能性もある。それも踏まえて、バンをどこに使うかを考える必要がある

T1 から見ると、カ・サンテが出た時点で「レーン序盤は、ジェイスのトップで有利を作りやすい」という考えになります。後半に試合を決める役も、ジェイスが担います。

ADC の選択とアリスター

この試合の構成とマッチアップを見ると、LOS の方針は「トップにはある程度耐えてもらい、ボット側にリソースを使って有利を作る」だったと考えられます。そのためにも、ボットには強いチャンピオンを出したいところです。

T1 もそれを読んでいたので、カ・サンテの後の2回目のバンでカリスタを消しました。LOS がボットで出したかった強いピックを、先に消したわけです。相手の狙いを読んだうえで、その道をふさぐ。T1 の上手さは、こういう所にあります。

T1 が2回目のバンでカリスタを消す

T1 はすでに最初のピックで ADC にジンを取っていました。この試合の構成と、この時点で選べる候補から考えると、ジンに対してレーンで強く出られる ADC は、ドレイヴン、トリスターナ、カイサあたりです。ボットの相性はサポートを含めた2対2で変わるので、ADC だけで決まるわけではありません。

この3体はどれも射程が短いので、強くエンゲージできるサポートが欲しくなります。

  • ノーチラスやアリスターは合わせやすい
  • レルでもよいが、リー・シンがいるのが嫌なところ。飛び込んでも蹴り返されてしまう

LOS はトリスターナを取りました。

LOS の ADC はトリスターナ

「ここで終わった感があった」のが、T1 のアリスターです。

T1 のアリスター。ラカンにとっては苦手な相手

  • ラカンはアリスターが苦手。飛び込んでも弾き返されるうえに、ラカンが E で味方のそばに戻った所へ W→Q を合わせられると、2人まとめて打ち上げられる
  • トリスターナを取った後にアリスターを取られる展開を、LOS は想定していなかったのではないか

それでも LOS は、最後のピックでラカンを出しました。苦手な相手だと分かっていても出した理由は、セカンドエンゲージの力です。

  • セカンドエンゲージとは、最初に飛び込んだ味方に続いて入ること。ラカンは、パンテオンが飛び込んだ所にすぐついていける
  • トリスターナは ADC の方から飛び込める。その動きにも、ラカンの CC を合わせやすい
  • LOS の構成は、パンテオンから始めるエンゲージ構成。そこに続いて入れる強いエンゲージ役として、ラカンが必要だった

それでもトリスターナには強みがあります。W(ロケットジャンプ)は、着地した所に2秒間40%のスロウがつく、とても強力なスキルです。昔は、もっと強いスロウでした。ADC の方から飛び込んで戦いを始められるので、ラカンのように後からついていくサポートとも相性が良い組み合わせでした。

両チームの構成の狙い

LOST1
有利を作りたいレーンボット(トリスターナを育てる)トップ(ジェイス)
耐えるレーントップ(カ・サンテ)ボット(ジンとアリスター)
ミッドとジャングルシンドラとパンテオンでワンキャッチルブランとリー・シンでワンキャッチ
戦い方エンゲージ(集団戦を始めて一気に倒す)遠くから削る(ポーク寄り)。守りはアリスターとリー・シン

有利を作りたいレーンと、耐えるレーン。LOS はボット、T1 はトップに有利を作りたい

ルブランは暗殺型だと思われがちですが、「意外と遠くから削るチャンピオン」です。Q と E を当てて W で下がるだけで、相手を削れるからです。T1 の構成は、遠くから少しずつ削り、戦いを始めるのはジン、入ってきた相手を追い返すのはアリスターとリー・シン、という形です。

それに対して LOS は、パンテオンが飛び込み、ラカンとトリスターナが続いて入るエンゲージ構成です。

T1 側にも安心材料がありました。ルブランは体力が減ると、パッシブで一度だけ姿を隠して逃げられます。LOS のワンキャッチを一度はかわせるチャンスがあるわけです。

LOS の構成の弱みは、一度つまずくとかなり苦しくなることです。その代わり、試合の中盤はとても強い構成です。T1 から見れば「中盤に気をつけなければいけない構成」でした。

「どうやって勝つか」の設計図のことを、ウィンコンディションと呼びます。チームゲームとソロのランクの一番大きな違いは、この設計図があるかどうかです。

プロのチームは「誰に最初にお金を集めて、誰に中盤を支えてもらって、誰が後半に試合を決めるのか」を決めます。これが設計図です。構成が決まれば、どうやって勝つかはある程度決まってきます。

この試合の LOS の設計図はとても分かりやすいものでした。「トップに耐えてもらって、ボットから試合を作る」です。ただ、分かりやすいということは、相手にもバレバレだということでもあります。

LOS が一番やってはいけないのは、トップが大きく負けることです。トップが耐えられないと、そもそもこの構成が成り立ちません。

ジャングルはどこから始める?

ピックの話の最後に、invals さんは「自分が選手なら、ジャングルはどちら側から始めて、どう回りますか」と参加者に聞きました。

  • T1 はトップ側のスカトル(カニ)が欲しい。トップのジェイスを助けたいから
  • LOS はボット側のスカトルが欲しい。ボットから試合を作りたいから
  • だから、お互いに青バフから始めて全部のキャンプを回るルートは、とてもあり

LOS の狙いは「パンテオンとシンドラがレベル6になったら、一度トップに行ってワンキャッチを取りたい」くらいだろう、という読みでした。

そして試合を見る前に「一つ見てほしい点」として挙がったのが、LOS はどこでリスクを取るのかです。

  • LOS はレーン戦が少し苦しい。だから、どこかでリスクを取る判断が要る
  • ただ、待つことでアイテムやレベルがそろい、状況が良くなる場合もある。待つだけでは差が広がる場合と、見分けることが大事
  • 仕掛ける時は、その時点で分かっていた情報と、成功した時のリターン、失敗した時の損失を比べて決める
  • ランクでも、不利を背負っているのに何もせず、じわじわ負けていった経験はないか

試合の流れと、見るべき場面

ここからは試合の画面を見ながらの解説です。時間は試合内の時刻です。

試合開始:お互いにジャングラーの位置を探る

試合が始まると、両チームともまずワードを置いて待ちました。お互いに相手のジャングラーがどこから始めたかを探りたいからです。

0分50秒(ミニマップ)。T1 も LOS も、上側の川の入り口にワードを置いて、相手のジャングラーがどこから来るかを見張る

T1 は、LOS のジャングルの入り口にもワードを置いていました。パンテオンがどこから始めるかを探るためです。でも LOS のラカンは、そこにワードが置かれるのを予測していて、すぐに消しに行きました。パンテオンの開始位置を、T1 に探らせないための動きです。

0分33秒。LOS のラプター側の入り口に、T1 のワードが置かれている。ラカンがそこへ向かう

0分36秒。ラカンが先回りしてワードを消す。T1 にパンテオンの開始位置を探らせない

サモナースペルにも、両チームの考え方が出ていました。T1 は ADC のジンがエグゾーストを持ち、サポートのアリスターがヒールを持つ形で、これが「とても偉い」。一方の LOS は、ラカンがヒール、トリスターナがバリアという普通の形でした。今はヒールがとても強いので、選ぶ理由は分かります。ただ、格上に挑む側なら普通にやっても勝てないので、もっと尖らせてほしかったところです。もちろん、こんな所でリスクを取れない気持ちも分かります。

1分ごろ:レベル1では押し合わない

1分08秒。ウェーブを真ん中で止めて、削り合いをしない

レベル1では、どちらもあまりウェーブを押しませんでした。ウェーブの押し方や体力の削り合い方を見ると、それぞれの狙いがある程度分かります。

ここでは両チームとも、レーンの真ん中あたりでウェーブを止めて、体力の削り合いをなるべくしない形でした。「ジャングラーに来てほしくない」という動きです。

気になるのは、トリスターナが最初のスキルを E にしていたことです。

  • LOS はボットで有利を作る方針の構成。だからボットは、戦いに行ける形を最初から作っておきたい
  • E を先に取ると W(ロケットジャンプ)がないので、アリスターに弾かれた後に自分から戦いに行けない
  • 相手がアリスターだと分かった時点で、状況を見て W に変えてもよかった

「ボットで勝たなければいけない、という目線で、全部の物事を組み立ててほしい」。LOS のボットに求められていたのは、これです。

その頃ミッドでは、Faker と Feisty が激しくやり合っていました。お互いに、自分のジャングラー(パンテオンとリー・シン)が動きやすいように、ミッドで最大限の圧をかけたいからです。

1分37秒。Faker のルブランと Feisty のシンドラが、どちらも引かずにミッドで圧をかけ合う

2分ごろ:この場面では、先にリコールした方が得

ここで大事なのが、先にリコールすること(先リコール)です。先に帰るのが得になるかは、ウェーブの状態、帰る間に失うミニオン、買えるアイテムで変わります。いつでも先に帰ればいい、というわけではありません。この場面では、次のような利点がありました。

  • Faker はパンテオンの位置を見て、帰る間に襲われないと確かめてから帰った。体力とマナが戻り、アイテムも買えた
  • 戻った後は、ウェーブを自分の都合のいい位置で止められた
  • この場面では、残ったシンドラも早めに帰りたかった。遅れるほど、戻った後の主導権を Faker に取られやすい

この場面で先に帰ったのはFakerでした。1分42秒ごろ、ラプターの所にいるパンテオンを見て、相手のジャングルのルートを確かめてからリコールしています。「これでもう確定しましたね」という場面です。

1分44秒。Faker はパンテオンの位置を確かめてから、先にリコールする

この場面では、シンドラも早めに帰りたいところでした。ところがシンドラは、すぐには帰りませんでした。その結果、戻った後の主導権を Faker に取られます。ここがよくなかった所です。

2分17秒。シンドラは遅れてリコール。Faker はもう戻ってきている

先に帰った Faker は、アイテムを揃えてレーンに戻り、ウェーブを止めていました。invals さんは参加者に「Faker の狙いは何だと思いますか」と問いかけました。

2分20秒。先に帰った Faker が戻り、ウェーブを止める

  • Faker がミッドで主導権を持っているので、スカトル(カニ)の取り合いになっても LOS 側には主導権がない
  • 遅れて帰ったシンドラは、ウェーブをリバースされる。リバースとは、ウェーブがぶつかり合った後、こちらのミニオンの方が多い状態で相手側に押し込むこと
  • その流れで、リー・シンがトップ側のスカトルを取れる。最初に話していた「T1 はトップ側のスカトルが欲しい」がそのまま実現した

3分01秒。リー・シンがトップ側のスカトルを取る

LOS もミッドの主導権を無理やり取り返しに来たので、ここは「交換」の形になりました。ただ、このタイミングで帰るのは結構重い(失う物が大きい)動きです。

3分ごろ:ジンのリコールと、リー・シンのカバー

上手いのが、ジンのリコールのタイミングです。

パンテオンがジャングルのファームを終えて、ボットに仕掛けに来る。ここがパンテオンのガンクが一番多いタイミングです。ジンは、ちょうどその時間にリコールしていました。

2分46秒。ジンがリコールする間に、パンテオンはボット側へ向かっている

ボットに誰もいなければ、パンテオンは来ても何もできません。これでパンテオンがボットを狙うタイミングが1つ消えました。しかもジンは、戻ってきた時には体力が満タンで、相手と削り合いもしません。

3分25秒。戻ってきたジンは体力満タン

「分かりやすい構成を取ると、めちゃくちゃ対策される。当たり前ですけど」。T1 から見れば、ボットは負けなければそれでいい。トリスターナが育たなければ十分です。

T1 は、LOS がボットを狙っているのも、パンテオンがボット側にいるのも分かっていました。そこでアリスターは、行きたそうな顔だけを見せて、自分からは絶対に行きませんでした。わざと強気に見せて、LOS に仕掛けさせるための釣りです。

3分36秒。アリスターは強気に見せて、LOS を誘う

そしてリー・シンがボットのカバーに来たタイミングで、アリスターは一気に仕掛けました。

3分40秒。リー・シンが来た所で仕掛ける

  • 先に帰ったジンは、体力とマナが戻ったうえに、ロングソード1本と靴の分だけアイテムが揃っている
  • LOS 側はサモナースペルを使わされ(トリスターナはバリアとフラッシュを両方)、トリスターナは強く出られなくなった

3分48秒。LOS のボットはサモナースペルを使わされた(暗いアイコンが使用済み)

3分51秒。トリスターナは体力を削られて下がる

「これは普通に Oner が上手いよね、というシーン」です。攻めなければいけないレーンのサモナースペルを吐かせたので、LOS はしばらく無理に攻められません。「ジンの強い使い方。上手いですよね」。

ボットの戦いの後、パンテオンはトップ側へ向かいました。トップのドランはそれが分かっているので、この時間に無理には攻めません。むしろここでリコールして、パンテオンのガンクを避けながらアイテムを更新していました。

4分ごろ:ワードは、やりたいことに合わせて置く

ここで見てほしいのが、ワードの置き方です。ワードは、その場面でやりたいことによって、置く場所も必要な本数も変わります。レーン戦の時期なら、たとえば次の2つです。

  • ダイブを警戒するワード:相手が近づいてくるのを早く知るのが目的。相手が来る入り口に置く
  • ミッドから動くためのワード:自分が通る道と、相手が割り込んでくる道を確かめるのが目的。通り道に沿って、何か所か見えている必要がある

「ワード1本では弱い」というのは、本数だけの話ではありません。その場面でやりたいことに必要な視界がそろっているか、という意味です。たとえばミッドから動きたいのに、通り道の1か所しか見えていなければ、見えていない道から割り込まれてしまいます。

つまり、ワードの場所を見れば、そのチームが何をしたいのかがある程度分かります。

ここでの T1 は、トップ側の川に2つの視界を持っていました。1つはブッシュに置いたワード、もう1つはスカトル(カニ)を倒した後に川に残る視界です。ワードだけでなく、スカトルの視界も数に入ります。この2つで、トップへ向かう道が見えている状態でした。「明らかにトップに行くよ」という置き方です。

4分18秒。トップ側の川にある T1 の視界

ミニマップで見ると、T1 はトップ側、LOS はボット側に視界を置いている

逆に LOS は、ボット側にワードを置きました。ここはシンドラがボットへ行くための通り道です。ここまで置けば、通り道と、相手が割り込んでくる道まで見えます。ミッドから動くためのワードとして、とても良い置き方でした。

4分55秒。シンドラ、パンテオン、ラカンがボット側の川に集まる

5分ごろ:押し込んでから先にリコールする

今度は LOS のシンドラが、ウェーブを押し込んでから先にリコールしました。2分ごろに Faker がやっていた「先リコール」です。配信には大きく映っていませんが、結構大事なシーンです。

5分05秒。シンドラは経験値100%で、レベル6の直前

5分14秒。シンドラが先にリコール。Faker はまだレーンにいる

  • この場面のシンドラは、ウェーブを押し込んでから帰ったので、帰る間に失うミニオンが少ない
  • 戻ってきた時に、ミッドで先にウェーブを押せる
  • レーンに残った Faker も、どこかで帰る必要がある。そのぶん、シンドラが先に動ける

もう1つ大事なのが、帰ったタイミングです。レベル6で R が使えるようになると、ここから本格的に戦いが起きる時間に入ります。シンドラはレベル6になったその瞬間に帰って、アイテムを買い足していました(5分13秒にレベル6、5分22秒にはアイテムが増えています)。戦える時間に入ったところで、すぐに戦う準備を整えたわけです。Faker もその後すぐにリコールしましたが、その時点で、先に動ける権利はシンドラの側にあります。

5分22秒。シンドラはレベル6でアイテムを更新。Faker はまだ帰っていない

ワードの置き方と合わせて、「次にパンテオンが来たらボットで戦うつもりだな」という動きでした。

5分すぎ:せっかく作った陣地を生かせない

ところが、シンドラは戻ってきた後にウェーブを押し込めませんでした。リー・シンとルブランがずっとミッドに圧をかけているので、シンドラ1人では主導権を取りきれないからです。

Faker と Oner がミッドに圧をかけ、シンドラは動けない

ここで、スクリム(練習試合)でよく言われる話があります。

  • ワードは「陣地」のようなもの
  • 自分たちで陣地を作っておいて、その陣地の外で戦うのはおかしい

この時の LOS の陣地は、さっきワードを置いて道を作ったボット側の川(ドラゴンのある側の川) です。本来なら、視界のあるこの川で戦うべきでした。

5分41秒。LOS の陣地はボット側の川。でも戦いは T1 のタワー側で起きた

この間の LOS は、パンテオンとラカンがボットの T1 のタワー側でジンとアリスターに張りつき、ダイブの形を探っていました。自分たちのワードがあるドラゴン側の川ではなく、T1 のタワーの近くです。その間にリー・シンと Faker がボット側の川へ下りてきて、LOS のワードを消していきました。「ここに固執しすぎ」です。

シンドラもミッドから動けず、その陣地を生かせませんでした。結局、川のワードを2本消されて、せっかく作った陣地がなくなってしまいました。

5分41秒と5分52秒のミニマップ。ボット側の川にあった LOS のワード2本が消えている

5分52秒。川のワードを消され、T1 が川に入ってくる

6分02秒。T1 は4人でドラゴンの川へ。シンドラはミッドに残ったまま

6分36秒。T1 がドラゴンを取る

では、どうすればよかったのか。

  • パンテオンが上側に寄って「そこのワードを消しに来るなら、こっちから入るよ」という圧をかけていればよかった
  • そうすれば、シンドラももう少し前に出られた
  • この時のシンドラは浮いている。リー・シンとルブランの圧のせいで、自分から圧をかけに行けない。パンテオンがいないから

一方で、別の見方もあります。LOS はボットにダイブしたかったので、ボット側の視界にこだわっていた、という見方です。アリスターのフラッシュを落として、ボットにダイブしたい。そのための視界取りだったわけです。

T1 もそれは分かっていて、ジンは必死にウェーブを押していました。ダイブされないための押し方です。

ジンが押している間、LOS のボットはカバーに動いてしまっていました。トリスターナには W(飛び込めるジャンプ)があるのだから、カバーではなく、前に出て押しているジンを咎め、プレッシャーをかけてもよかった場面です。少なくともこの時点で、トリスターナのフラッシュは落ちていました(3分45秒ごろに使った分です)。

とはいえ、上から見るとこういうことが分かりますが、試合中に気づくのは難しいものです。

6分ごろ:トップの殴り合いと、ファーストブラッド

6分19秒。カ・サンテが倒され、ファーストブラッド

この直前、LOS はボットダイブの目を完全に潰されていました。T1 から見ると、パンテオンがトップに来ないのは分かりきっていました。だからトップのドランはやりたい放題です。

そしてトップで Zest のカ・サンテが仕掛け、Doran のジェイスがキルを取りました。これがファーストブラッドです(6分20秒)。

「トップのプライドをかけた殴り合い」でした。「痛み分けで終わらせればよかったんだけどね」「ドランが上手い」。ドランの反応はとても早く、「誘っていたのかもしれない」と思うくらいでした。そしてこの後すぐ、T1 はボットを攻めに行きます。「ここでボットを攻めるのはさすがプロ」です。

  • カ・サンテに与えられた役割は「耐えること」
  • ただ、倒せそうに見えたら行きたくなる気持ちも分かる。勝てば一気に楽になるから
  • これを我慢できるトップレーナーは少ないかもしれない

そして、この展開は LOS にとって一番まずい展開でした。invals さんが 「リスクを取るしかない場面がここ」 と話したのは、待つほどジェイスが育って差が広がる状況だったからです。考え方を整理すると、次の通りです。

  • 待つことでアイテムやレベルがそろい、トップが耐えきれるなら、無理に仕掛けなくてもいい。トップが「まだいける」と言うなら、このまま続ける選択もある
  • 待つほどジェイスが育って差が広がるなら、どこかで仕掛けるしかない。だから LOS はボット側のワードを消し、ダイブの準備を始めた
  • 仕掛ける時は、その時点で分かっていた情報(相手の位置、サモナースペル、R の有無など)と、成功した時のリターン、失敗した時の損失を比べて決める

8分ごろ:強引にボットダイブというリスクを取る

待つほど差が広がる状況だと見て、LOS はリスクを取りに行きます。選んだのは、強引なボットダイブでした。失敗したら試合が終わりかねない、大きな賭けです。

ただ、ダイブの前の配置には気になる所がありました。

  • シンドラが上側(トップ側)に出てしまっているのが気になる
  • リー・シンの位置さえ分かれば行ける、という判断なのだろう
  • でも下側(ボット側)には T1 のワードがたくさん置かれていた。1人では行けない
  • フラッシュがあるなら行ってもいい、とは思う。どこまでのリスクを許容するか、という目で見ると面白い場面

7分49秒。パンテオンはボットへ。でもシンドラは上側にいる

8分08秒。T1 がヴォイドグラブを取る間に、LOS はボットへダイブ

「これは失敗したらゲームに負けます」という場面で、LOS はダイブに入りました。

8分15秒。LOS がタワー下に飛び込む

ダイブされた T1 側では、アリスターがしっかりカバーに入っていました。これがアリスターの強いところです。

  • 前に出るかどうかは、体力だけでは決まらない。チャンピオンの硬さ、使えるスキル、捕まった時の危険まで含めて考える
  • この場面のアリスターは、硬いうえにスキルで相手を弾き返せる。ジンの体力が減ったところで、ジンを守るために迷わず前に出た
  • アリスターはヒールでジンを支えつつ、フラッシュは残していた。ジンもエグゾーストとフラッシュを残したまま守りきった

8分20秒。ダイブを受けた T1。ジンはエグゾーストとフラッシュを残し、アリスターはヒールを使っている

8分24秒。T1 はタワー下で守りきり、LOS は下がる

T1 の守りが固く、ダイブは失敗に終わりました。「これも惜しい。非常に惜しい」。こういうダイブは、失敗すると「なんで行ったんだ」とよく言われます。でも、結果だけで良し悪しは決まりません。リスクを取ったこと自体を褒めるのでもありません。行く前に分かっていた情報で、成功した時のリターンと失敗した時の損失をどう見積もったかで評価します。この場面は、待つほど差が広がる状況で少ないチャンスを掴みに行ったもので、「よくやったと思う。頑張った」 という評価でした。

ここで invals さんが参加者に投げかけたのが、「どこに負担を引き受けてもらうか」という話です。

  • 全部のレーンで有利を取れればいいけれど、そうはいかないことが多い。どこかが負担を引き受けることになる
  • 強いて言えば、このダイブを確実にするためには、シンドラも来てほしかった。そのためにトップのジェイスへ多少の有利を渡すかどうかは、チームの判断

シンドラをダイブに連れてくる方法の一つが、ダイブと一緒に使えるローテーションです。

  • シンドラはミッドに戻らずボットへ行き、ダイブに加わる
  • 空いたミッドには、トップのカ・サンテが入る
  • ただ、トップの損失は軽くない。カ・サンテがゴールドや経験値を失うと、防具や1コアの完成が遅れ、その分ジェイスも育つ
  • だから、トップで失うものと、ボットで得られるもの(ダイブの成功、ドラゴン、トリスターナの育ち)を比べて、良し悪しを決める動き

こういうローテーションもあった(シンドラはボットへ、カ・サンテはミッドへ)。この試合では使っていない

ボットにダイブすると、お返しにトップへダイブされやすくなります。トップをミッドに逃がしておけば、それも避けられます。この試合の LOS はこのローテーションを使わず、そのまま戦う方を選びました。

ほかの考え方として、ミッドのシンドラはテレポートを持っているので、無理にミッドへ戻らず、テレポートでミッドに帰らせてもかまいません。

9〜10分:トップに行くか、ボットを続けるか

ダイブの後も、トップではまだ Zest がドランと殴り合っていました。

8分43秒。Zest はまだトップでドランと殴り合っている

  • 勝てればジェイスの有利を崩して、トップを立て直すきっかけになる。成功した時のリターンは大きい
  • 一方で、負けるとさらに差が広がり、トップで耐えて中盤に持ち直す展開が難しくなる
  • カ・サンテだから仕掛けてはいけない、という意味ではない。この状況では負けた時の損失が重く、ややリスクの大きい判断だったのではないか
  • Zest はフィジカル(操作の上手さ)がとても高い選手。その強みを生かすなら、ピックの段階から考える手もあった

パンテオンの動きは、2つの判断に分けて考えると分かりやすくなります。

① 一度トップにガンクに行く

  • 狙い:ジェイスにプレッシャーをかけて、のびのびとファームさせないこと
  • この時点では、パンテオンはトップに一度もガンクに行っていない。だからジェイスはのびのびとファームできていた
  • ただ、失敗すると差が広がるので、行くなら成功の見込みがある時

② ボットへの支援を続ける

  • 狙い:LOS が有利を作る場所はボット。ボットで何度も形を作り、トリスターナを育てる
  • LOS は何回もボットダイブに行こうとして、全部かわされていた。それでもボットで有利を作る方針なら、ボットを見続けることになる
  • ミッドのシンドラも、ボットへ行くリスクは取りたい。ルブランもウェーブを押すのは速いが、シンドラの方が速い。それでもリー・シンとルブランのキルプレッシャー(倒されるかもしれない圧)のせいで、十分に押せなかった

この2つは、どちらか一方というわけではありません。トップやミッドへの一時的な介入が、ボットで有利を作る方針につながることもあります。大事なのは、いつ、何を狙って動くのかをはっきりさせることです。

8分55秒。パンテオンは下側にいて、トップに来ていない

トップへのガンクと、トップ側のジャングルを回ることは別です。

  • このあとのパンテオンは、ボットでダイブできずにリコールした後、トップ側のジャングルでファームしていた
  • これはトップへのガンクではない。モンスターを取っているだけで、ジェイスへのプレッシャーにはなっていない
  • 「はっきり言って、パンテオンはトップでファームしている場合じゃない」。有利を作る場所がボットなら、この時間はボットを見たかった

ただ、キルは0対1で、そんなに負けてはいません。トリスターナが育つのを待てば状況が良くなる、という考え方もあります。トップも自分から攻めて倒されただけで、大負けしたわけではありません。「まあ大丈夫だろう」というのが LOS の考え方だったのでしょう。ただ、待っている間にジェイスも育つので、待つだけで良くなるとは限りません。

10分ごろ:リコールのふりをした T1 の罠

10分から12分くらいになると、序盤が終わって最初のタワーが割れ始めます。ここから、中盤の少数戦や集団戦が始まります。

8分のボットダイブの後、LOS はしばらく仕掛けられない時間が続きました。

  • ラカンもパンテオンも、8分のボットダイブで R を使っている。R が戻るまで、LOS は自分から仕掛けられない
  • T1 もそれを分かっている。だから R がない間、T1 はボットで強気に戦える
  • パンテオンが一度もミッドを見に行っていないのも重い

10分ごろになると、ラカンの R が戻ってきます。LOS がまたボットにダイブしたいのは T1 にも分かっているので、T1 は罠を仕掛けて待っていました。ここで T1 が見せたのがリコールのふりです。

  • ウェーブを押し込んで、帰ったように見せる。普通はそうするので、当たり前の動きに見える
  • 次のドラゴンに向けて「押し込んで帰る」。その当たり前の動きを狙われた
  • LOS は「T1 は帰っている」と思って動き、そこを狙われた
  • この戦いで、LOS は戻ったばかりのラカンの R と、トリスターナの R を使わされた

10分29秒。罠にかかり、ラカンが R を使わされる

10分32秒。リー・シンがラカンを倒す

「T1 側は巧妙」です。そしてこの展開が、LOS には一番まずい。「じゃあ次にどうするかが大事なシーン」です。特番では、invals さんが参加者に「皆さんならどこで戦いますか」と聞きました。

「キルを取るしかない」という声に対して、invals さんは「所詮2キルなので、戦わないという選択肢も全然ある。僕はそういう選択肢も好き」と答えています。

11分ごろ:トップでのアクションと、それを読んでいた T1

ボットでのアクションが失敗した LOS は、次にトップを狙いました。パンテオンがトップへ向かい、アクションを起こします。この段階の LOS には、トップしか狙う所がありません。

11分02秒。次はトップでパンテオンが仕掛ける。ドランは警戒していた

ここからの T1 の動きが見事でした。

  • T1 は、パンテオンがトップで動くことを分かっていた。だからアリスターは、リコールから戻るとすぐにトップ側へ向かい、カバーに入っていた
  • ドランも、パンテオンが来ることを警戒していた
  • その間にリー・シンがミッドの主導権を強引に取り、トップへのダイブを確実なものにした

11分10秒。リコールからすぐトップに来たアリスター

11分20秒。リー・シンがミッドの主導権を強引に取る

11分32秒。アリスターとリー・シンもトップへ集まる

11分42秒。T1 が3人でトップにダイブ。LOS は人を出せない

結果、T1 はトップに3人を集めてダイブしました。LOS のアクションを受け止めたうえで、逆に倒しに行ったわけです。

T1 の強さは、欲しい所に人数を集める力です。逆に LOS は、どの場面でも1人足りていません。

足りていない1人はシンドラです。シンドラは Faker と Oner の2人にずっとミッドで押さえつけられていて、ボットにもトップにも来られませんでした。

  • ルブランが動けない時は、リー・シンがカバーしてミッドに圧をかける
  • これを交互にやっているので、シンドラはずっと動けない
  • CS は取れているので、やられている側は気づきにくい
  • 一方のルブランも、実は大きくは動いていない。シンドラさえ動かさなければ、T1 は残りの場所でそれぞれ対応できるから

参加者から「シンドラの判断というより、Faker が上手いからですか」と聞かれ、invals さんは「Faker と Oner ですね。2人でずっと押さえつけている」と答えていました。

やられている側からすると、「なんでレーンで耐えているだけで試合が終わるんだ、というのはこれ」です。そして「キル差は所詮3。まだ後半まで持ち込める」と思ってしまうせいで、危機感が生まれにくくなります。

危機感がないと、大きなリスクを取るアクションを先延ばしにしてしまいます。その間にも差は少しずつ広がり、気づかないうちに自分たちの首を絞めていくことになります。

待つほど差が広がる状況だったので、LOS は本当なら、もっと早い段階で、成功の見込みがある仕掛けを探したかったところです。後になるほど、取れる手は少なくなっていきました。

12分ごろ:自分たちの陣地で戦う T1

12分40秒。T1 のワードがあり、自分たちの視界の中で戦う

12分52秒。ドラゴンの前で戦いになる

さっき LOS ができなかったことを、T1 はやっていました。自分たちの視界がある所で戦っているのです。視界がない所に突っ込むと、相手は見えないまま倒されます。

ただ、この瞬間の LOS のシンドラはとても強い状態でした。レベル9〜10で Q を最大まで上げたシンドラは、一瞬で大きなダメージを出せます。だからこそ、ジェイスがこの戦いにきちんと寄ってきていたのは「偉い」。ドランはこういう所が上手いです。

13分02秒(ミニマップ)。トップのジェイスが、ドラゴン前の戦いに寄ってきている

13分02秒。レベル10のシンドラは、バーストを十分に出せる

それでも LOS は、このままじわじわ負けていくだけになりそうでした。「どこかでリスクを取らないといけない。でも正直、遅い。その時間はいっぱいあったのに」。

14分ごろ:視界を固める基本

13分56秒、トップで Zest がドランに仕掛けましたが、Keria のアリスターも加わって、Zest が倒されました。1対1で負けたというより、アリスターの助けが入った場面です。T1 はそのままトップのタワーを攻め始めました。そこへ Faker のルブランが、テレポートでトップに合流します(14分20秒ごろ)。

14分21秒。Faker がテレポートでトップに降りてくる。T1 はトップのタワーに人数を集める

この Faker のテレポートの判断は「すごい」の一言です。T1 は14分27秒にトップのタワーを割り、そのまま Faker が LOS のジャングルを倒しています。

一方の LOS は、「トップじゃなくて、ミッドで返さなきゃいけないんだよね、こういう所って」。

  • T1 はトップに人数を集めている。Faker もボット側からテレポートでトップに飛んだので、ボットには誰も残っていない
  • ミッドにいる T1 は、ジン1人だけ
  • だから LOS は、トップで受けるのではなく、ジンが1人で守っているミッドを狙って取り返したかった。ジンはエグゾーストもフラッシュも残しているので簡単ではないけれど、仕掛けるならここ

この時間の LOS は、T1 の動きを見失っている感じもありました。視界を置かれすぎていて、T1 からは LOS の狙いが分かりきっているからです。

T1 の視界は、ピンクワードの奥にステルスワードを置くという基本ができていました。これをやられると、LOS は外に出られません。

この時間、シンドラはボット側でファームしていました。「CS はちゃんと取っているけれど、一回もアクションをしていない。ファームしている場合じゃない」。本当はミッドで返したかった場面です。このまま育ったジェイスには最後に誰も勝てないので、そろそろジェイスを潰さないといけない、という嫌な状況でもありました。

14分45秒。T1 がトップを攻める間、シンドラはボット側でファームしている

14分20秒。T1 がトップを攻める。本当はミッドで返したかった場面

オブジェクトの交換

さすがに LOS も焦り始めていました。ただ「もう遅いんですよ」。ここで、試合を進めたい側と進めたくない側の考え方を整理します。

  • LOS は後半に強い構成なので、待って試合を伸ばす選択もある
  • LOS は時間を稼ぎたい側。ただ、それは全部のオブジェクトで正面から戦うという意味ではない
  • 守れる所では相手の進行を遅らせ、守れない所では交換や、損失を小さくすることを考える
  • T1 は試合を進めたいので、多少ゴールドを渡してでも先へ進めていい
  • 例えば、トップのタワーを渡してボットのタワーを取れるなら、それは悪くない交換

18分00秒。T1 は LOS のボットのタワーを割り、試合を先へ進める

このあたりは「Faker が仕事をしている」「王者の風格を出してくる」時間です。T1 は逆サイドの相手もきちんと倒し、ミッドを取るためにボットを狙っていきます。LOS は一瞬で大きく削られる場面もあり、「あと1、2回やられたら折れてしまう」状態でした。

16〜18分:強引に取ったヘラルドと、ルートを切るワード

ここまで、試合を進めているのはずっと T1 でした。タワーを割り、オブジェクトを取り、T1 の速い試合運びで進んでいます。

そこで16分ごろ、LOS のパンテオンが、Oner と競り合いながら強引にヘラルドを取りました。

16分09秒。パンテオンが Oner と競り合いながらヘラルドを取る

  • ヘラルドを取ったことで、T1 の速い試合運びを一度止めることができた
  • ヘラルドは、持っている側が「いつ、どこでタワーを割りに行くか」を決められる。つまり、ここからは LOS が自分たちの都合で動ける
  • 負けている LOS にとっては、試合を動かすきっかけになる大事な一手

invals さんは参加者に「このヘラルド、どこで使いますか」と問いかけました。「この選択を間違えたら負け」「LOS のラストチャンスくらい」という場面です。参加者からは、ボットのタワーを狙う、ドラゴンに合わせる、サイドのレーンから仕掛ける、といった案が出ました。

invals さんは参加者の案に「ドラゴンを1つ取るだけなら、ドラゴンの時間にヘラルドで対応する、という使い方は確かにある」と答えていました。ミッドに使いたい気持ちもあるけれど、そうすると T1 が全員集まってくる、とも。

ヘラルドの使い方は1つではありません。タワーを割る、ドラゴンと合わせて相手を動かす、相手を呼び寄せて仕掛ける。どこで使うかで、その後の試合の流れが変わります。LOS は慎重で、なかなかヘラルドを出しませんでした。「思い切って出せばいいのに」という場面です(実際に使ったのは21分15秒でした)。

21分15秒。LOS はここでヘラルドを使い、自分たちの都合で仕掛ける

ここで覚えておきたいのが、ルートを切るという考え方です。

  • 相手が通る道にワードを置き、そこを通れなくする。「ここは通らせないよ」くらいの気持ちのワード
  • ルブランがここにいて、さらに下がられると、相手は遠回りをしなければならない
  • 遠回りするとローテーションにものすごく時間がかかる。その間にタワーを割れる

18分14秒。LOS のジャングルの通り道に T1 のワード。遠回りさせて、その間にタワーを割る

18分ごろ:負けている側のワンキャッチは、ワンキャッチで終わり

18分55秒。LOS が Peyz のジンを倒す

LOS はここで、とても良い入り方をして Peyz のジンを倒しました。「最高の入り方」です。

ただ、その後に追いかけたことで被害が広がりました。invals さんが 「皆さん覚えておいてください」 と強調したのがここです。

19分02秒。追いかけた LOS が、逆に2人倒される(キルは1対9に)

負けている側のワンキャッチは、ワンキャッチで終わり。そこから続けると、被害が広がるだけです。

ランクでも、負けている時にキャッチが決まって「勝てそう」と思って追いかけ、全滅した経験はあると思います。上から見ている分には何度でも言えますが、その瞬間になると行ってしまうものです。「でもこれは判断できないよな」。

もう一つ大事なのが、この試合のジンの役割です。

  • T1 の構成で大きなダメージを出すのは、ジェイス、リー・シン、ルブラン
  • ジンの役割は、耐えることと、R で戦いを始めること。「実際アッシュなんですよ。R を打っておけばいいアッシュと変わらない」
  • ジンを倒す価値が小さいわけではない。ただ、倒しても育ったジェイスなどの脅威が残っているので、その後の集団戦まで有利になるわけではない

ADC を倒すと「いける」と思いがちですが、相手の構成で誰が一番の脅威なのかによって、その後の戦いやすさは変わります。

21分ごろ:ルブランは遠くから削るチャンピオン

21分07秒。Faker のルブランは Q と E を当てたら、すぐに W で下がる

この時間の LOS は、どちらにしろ無謀なキャッチに行くしかない状態でした。パンテオンは序盤に強いチャンピオンなので、「そろそろパンテオンの寿命が終わってしまう」時間です。それでも「パンテオンはどこまでいっても確実に強い。E も強い」。パンテオンが仕掛けた場面では「当たっていたら倒されていた。ジンの R が展開されているから」という危ない瞬間もありました。

ここでもルブランは、Q と E を当てては W で下がる動きをしていました。バンピックの所で書いた「ルブランは遠くから削るチャンピオン」そのままの使い方です。

このあと LOS は、また1人を倒すことに成功します。「ここで仕掛けるのはいい」。でもやはり「ワンキャッチで終了。これが大原則」です。続けて戦った LOS は逆に倒されていきます。T1 のリー・シン(Oner)はシールドがずっとついていて、とても硬かったです。

21分35秒。LOS が1人倒す。ワンキャッチはここまで

21分40秒。続けて戦い、逆に倒される

21分55秒。LOS は全員倒された

ここで、ゲームはほぼ終わりました。

  • 実際にはまだ終わっていないけれど、どうせ LOS がやることは変わらない。どこでワンキャッチを取るかだけ
  • T1 はそれをずっと分かっているので、そのキャッチをどう避けるかだけ
  • LOS はキャッチに行くしかない。でも、やることがなくなってしまっている

改めてジンを見ると、この試合のジンは、耐えて R で戦いを始めるのが主な仕事でした。大きなダメージは、ジェイスとルブランが出してくれます。

24分:T1 の勝ち

24分11秒。T1 が LOS の本拠地を攻める

22分すぎにバロンを取った T1 が、そのまま押し切りました。

22分56秒。バロンを取った T1 が、そのままタワーを割る

23分47秒。T1 が本拠地に入り、インヒビターを割る

集団戦に勝った後に気をつけたいのが、オーバーステイ(勝った後に長く居座りすぎること)です。

  • これ以上居座るのはオーバーステイ。どうせ一度帰ることになるので、それならファームを取ってほしい
  • ウェーブもないので、残っていても得がない
  • ただ、ここで仕掛ける判断を取ってもいい場面ではある

最後は T1 がテレポートで戻ってきて、24分で試合が終わりました。

invals さんのまとめ

invals さんは「だいぶコーチ目線で語っちゃいましたけど」と前置きして、覚えておいてほしいことをまとめてくれました。

  • どこで有利を作るかを見ると、試合が分かりやすくなる。この試合なら、LOS はボット、T1 はトップ
  • じゃあ、それをどうやるのか。LOS はエンゲージの構成で、T1 はそのエンゲージを生かさせない構成になっていた
  • ワードで言えば、T1 のジャングルのトップ側にワードが多いほど LOS には都合がいい。でも、そうすると見張られて倒されてしまう。T1 は、相手が入ってくる時間を全部ケアしていた。「偉いね」という話
  • ジン(Peyz)は本当に耐える役だった。早い時間に防具の靴(プレート スチールキャップ)を買っていたのも、そういう役割だから。普通ならかわいそうに見えるけれど、R を打つことが主な仕事で、ちゃんと自分の役割を果たしていた
  • 序盤は誰が支えて、中盤は誰が支えて、後半は誰で勝つのか。LOS は一貫してトリスターナとシンドラ、T1 はルブラン、ジェイス、リー・シンの3人で勝つ形だった
  • T1 は、その狙いに最後まで忠実だった。LCK のチームは、こうした狙いに従うのがとても上手い。変な動きに見えても、狙いを考えると分かる
  • LOS は基本に忠実で、分かりやすい動きをしていた。だからこそ T1 は全部に対策できた。LCK のチーム同士だと、予想がバレているので、意味が分からないように見える動き(急にトップに行くなど)も増える
  • 狙いは良かった。でも、ずっと1人足りなかった。足りなかったのは、Faker と Oner にミッドで押さえつけられていたシンドラ
  • 「たとえば Zest がミッドに圧をかけたりできるようになれば、もっとチャンスを掴めるんじゃないか」。トップの Zest がミッドを助けられれば、シンドラが動けるようになる。8分ごろの話で出た、トップとミッドを入れ替えるローテーションと同じ考え方です
  • ラカンがイグナイトを持ってもよかったと思う場面もあった。トップに負担を引き受けてもらった分のリターンを、ボットで取れなかったのが苦しかった

最後は「世界1位に押さえつけられた。少し経験の差があったのかもしれない。さすが Faker、さすが T1」という言葉で締めくくられました。LOS も基本に忠実に戦っていたけれど、王者の壁は厚かった、という試合です。

ランクで真似できること

プロの試合の話ですが、ランクでもそのまま使える考え方がいくつもありました。

  1. どこで有利を作り、どこが耐えるかを考える。全部のレーンで有利を取れるとは限りません。自分のレーンが「耐える側」なら、無理に倒しに行かずに耐えることが仕事です
  2. 不利な時は、待てば良くなるのか、待つほど悪くなるのかを見る。アイテムやレベルがそろえば持ち直せるなら、待つのも手です。待つほど差が広がるなら、どこかで仕掛けます。その時は、分かっている情報と、成功した時のリターン、失敗した時の損失で決めます。結果の勝ち負けだけで、判断の良し悪しを決めないことです
  3. ワードは、やりたいことに合わせて置く。ダイブを警戒するなら相手が来る入り口に、ミッドから動くなら通り道と割り込まれる道に置きます。そして、視界がある所で戦います
  4. 負けている時のワンキャッチは、ワンキャッチで終わり。1人倒せたら、追いかけずに次の行動へ移ります
  5. 先にリコールするかは、ウェーブの状態、失うミニオン、買える物で決める。押し込んでから帰れる時は、戻った後に先に動きやすくなります
  6. 前に出るかは、体力だけで決めない。チャンピオンの硬さ、使えるスキル、捕まった時の危険まで考えます。今回のアリスターは、硬くてスキルで味方を守れるので、ジンを守るために前に出ました

invals さんの見方では、日本のプレイヤーは特に「自分のせいで試合を台無しにしたくない」という気持ちが強く、リスクを取るのをためらいがちです。その気持ちはよく分かるけれど、仕掛けるべき場面はあります。

質問コーナーの要点

当日の参加者が invals さんに聞いた質問です。特番に参加すると、こうした質問をその場でできます。

Q. 「1つ勝つ、1つ耐える、1つはトントン」という話でしたが、全部のレーンで有利なピックが取れている試合もあります。あれは何ですか?

相手のバンピックに失敗があった場合もありますが、いつもそうとは限りません。「1勝1敗1分け」は、どこに有利を作り、どこに負担を引き受けてもらうかを考えるための目安で、必ずその形になるわけではないからです。

3つのレーンで有利なら、試合はかなり進めやすくなります。あとはジャングラーが相手のジャングラーの位置を追うだけで済みます。

負けている側を見る時は、ジャングラーやサポートがどんなリスクを取っているかを見てください。例えばアジールは後半に強いチャンピオンですが、序盤から強くなるビルドにすると、レーンで W と Q を当てるだけで主導権を取れます。ビルドで序盤の役割を担わせることもできるわけです。この試合でも、ラカンがイグナイトを持つ選択はあったかもしれません。

Q. 国や地域によって特徴はありますか?

あります。invals さんの見方では、次のような違いがあります。

  • 日本のチームは、決まった型に沿った動きが多く、あまりリスクを取りたがらない
  • 韓国のチームは、機械的で正確な動きがとても強い。T1 は基本に忠実で、軍隊のようにぴったり揃った動きをする
  • 昔の Griffin(韓国のチーム)は LCK では異色で、動きはばらばらに見えるのに、戦いの瞬間にはきちんと揃っていた
  • 台湾やベトナムのチームは、不利でも何度でも仕掛けてくる

Q. 試合の見方をもっと深く理解するには?

一番の近道は、チームを組んで出る大会に挑戦してみることです。最近は初心者向けを含めて、コミュニティの大会が増えています。

Q. 優勝はどこだと思いますか?

「T1 に勝ってほしい」。長く LoL をやっている人は、みんな T1 と Faker が好き、という話で盛り上がりました。invals さん自身は、昔は Cloud9 が好きでした。

おわりに

ワールズは11月まで続きます。この記事の見方(どこで有利を作るか、ワードの置き方、負けている側がどこでリスクを取るか)を思い出しながら、ほかの試合も見てみてください。

今回の大会は荒れていると言われています。ほかの試合も、このリスクの取り方の目で見てみると、どこでリスクを取る判断をしたのかが見えてくるかもしれません。

グループ講座について

今回の特番は、塾の月額会員向けのグループ講座として開きました。

  • 毎月テーマを決めて、コーチがライブで解説します
  • 講座の中で、その場で質問できます(プレミアム会員の質問を優先します)
  • 月額会員が増えるほど、開催の頻度も上がっていきます

「試合の見方をプロに直接聞いてみたい」と思った人は、会員について のページを見てみてください。

次の特番は、月額会員の人数で決まります

特番を開くには、解説してくれるコーチへの報酬など、運営に費用がかかります。そこで、ワールズの間は月額会員の人数で目標を置きます。数えるのは、この記事の公開から増えた月額会員です。期限は、ワールズ決勝の日(11月15日)までです。

ワールズ特番の追加11月15日(決勝の日)まで

記事の公開から増えた月額会員 … / 20人

  1. +5人 特番をもう1回
  2. +10人 特番をもう1回
  3. +15人 特番をもう1回
  4. +20人 ワールズ決勝の特番

あと5人で「特番をもう1回」。月額会員について

記事の公開から増えた月額会員やること
5人T1 の試合か、面白かった試合の特番をもう1回
10人さらにもう1回
15人さらにもう1回
20人ワールズ決勝の特番(決勝が終わった次の週に開きます)
  • 5人増えるごとに、特番を1回増やします
  • 月額なので、ワールズの間だけ会員になってみる、という使い方もできます
  • 特番では、その場でコーチに質問できます。記事には要点しか載らないので、気になった場面を自分で聞けるのは参加した人だけです
  • 月額会員になると、ほかにも安いリプレイ添削や毎日のコーチング割引が使えます
  • 大会の映像は試合の24時間後から使えるので、特番は試合の翌日以降に開きます

invals さんのコーチングも受けられます

今回解説してくれた invals さんは、塾のコーチでもあります。自分の試合を invals さんに見てもらうこともできます。

  • 1on1 のコーチング(通話で直接教えてもらう)
  • リプレイ添削(自分の試合を見てもらい、文章でフィードバックをもらう。月額会員向け)

「この記事のような見方で、自分の試合も見てほしい」という人は、invals さんのページ から依頼できます。

プロの動きを、自分の試合で

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